2017年5月20日土曜日

どうぶつのくに ~No worriesの精神~

こんにちは、オーストラリアの首都Canberraで5-6月の間、臨床実習をしています、とんくらです。

オーストラリアと言えばカンガルーやコアラといった野生の動物が多く生息しているというイメージが強いと思います。実際、SydneyやCanberraで生活している中で、様々な生物を見かけます。というわけで、今回はオーストラリアで出会った動物たちについて紹介しようと思います。ここで紹介する写真はすべてこちらで撮ったもので、いかに日常の生活圏で動物と出会えるかが伝わるかと思います。



① Kangaroo(カンガルー)

オーストラリアと言えば、カンガルー。オーストラリアの国章にも描かれるほど馴染み深く、愛されている動物です(ちなみにオーストラリアの国章にはカンガルーとエミューが向かい合って描かれていますが、これにはどちらも前にしか進めない生物=前進あるのみ、という意味が込められているそうです)。

オーストラリアの国章。中心にはオーストラリアを構成する6つの州のシンボルが描かれています。ちなみにCanberraのあるACT(Australian Capital Territory)はこの6つには含まれず、首都特別区として扱われます。
(参照:http://www.peo.gov.au/learning/fact-sheets/national-symbols.html)

日中は森林の中に姿を潜めていることが多いですが、朝方や夕方になると山沿いの芝生に草を食べに出てきます。特に夜は活発に行動するため、夜中ドライブをしていると山の近くの道路脇から突然飛び出してくることもあります。それゆえ、ドライバーがカンガルーを轢いてしまう事故も少なくなく、カンガルー注意の標識すらあります。こちらで高速道路を運転していた時に、道路脇で残念な姿のカンガルーやウォンバットを何度か見かけました (T_T)

Sydneyで出会ったEastern Gray Kangaroo(オオカンガルー)。そこまで警戒心が強いわけではなく、案外近付いても逃げません。場所によっては触っても全く動じずに草を食べ続けるカンガルーもいます。

こちらはCanberraのTidbindilla自然保護区で出会ったおっさんカンガルー。


② Wallaby(ワラビー)

ワラビーはカンガルー科の動物ですが、いわゆる"カンガルー"に比べて少し小さく、すばしっこいイメージです。カンガルーよりも警戒心が強いので近づこうとするとすぐに逃げてしまいます。

Swamp Wallaby(オグロワラビー)です。キノコをもしゃもしゃと食べていました。


③ Birds

オーストラリアには野鳥がたくさんいます。緑の多い所なら必ずと言っていいほど鳥を見かけます。特に、日本ではペットでしか見ないようなカラフルなオウムの仲間が平然とその辺を飛んでいたりするので、着いたばかりの頃は驚きました。ここでは実際に見かけた何種類かの鳥たちを紹介します。
  • Australian Magpie(カササギフエガラス)

Canberraでよく見かけるカラスの一種です。日本のカラスに比べると少し小さく素早く動く気がします。黒だけでなく首筋や体の一部に白い羽毛が生えているのも特徴的です。普段はパイプオルガンのような不思議な鳴き声をするのですが、モノマネも上手で他の鳥の鳴き声などを真似して鳴くこともあるそうです。

  • Galah(モモイロインコ)

グレーの尾羽根に、頭部から腹部にかけての綺麗なピンク色が特徴的なオウムの仲間。写真のように芝生で地面を掘って餌を探している姿をよく見かけます。よちよちとした歩き方や見た目は可愛いですが、作物を食べる害鳥として農家からは嫌われています。ちなみに日本でペットとして買うと1匹30万円くらいするそうです。一見珍しそうな鳥に見えますが…


こんなにいっぱいいます。上の写真だけでも1000万円分はいそうですね。そう思って近付いたら全部逃げていきました。1000万円が一斉に羽ばたいていく様は、この上なく趣深い情景でした。

  • Sulphur Crested Cockatoo(キバタン)

真っ白な身体に後頭部の黄色い湾曲した鶏冠が特徴です。これも一見珍しそうなオウムの仲間ですが、結構見かけます。美麗な見た目をしてますが、上の写真のように芝生に生えている草を根こそぎ掴み取って餌を探すので、こちらも地元の人には庭荒らしとして嫌われているのだとか。羽を広げて飛ぶ姿はダイナミックで美しいのですが、鳴くとギャーギャーうるさいです。黙ってれば美人なのにってやつですね。

  • Cremson Rosella(アカクサインコ)

National Botanical Gardenで撮影したこの鳥は、オーストラリア南東に生息するとても綺麗なインコです。鮮やかな赤と青の羽毛が目を引きます。幻の鳥感がありますが、こいつもいっぱいいます。

  • Laughing Kookaburra(ワライカワセミ)

こちらもNational Botanical Gardenでたまたま見つけました。名前の通り、カッカッカッと笑い声のような鳴き声で鳴くのでこっちまで釣られて笑いそうになります(↓参照動画:https://www.youtube.com/watch?v=S0ZbykXlg6Q)。



  • Rainbow Lorikeet(ゴシキセイガイインコ)

Sydneyのカフェの屋根に止まっていたのをたまたま撮影できました。名前の通りRainbowな見た目をしていて、こんなルックスのインコが普通に生活圏を飛んでいることに驚きます。和名ゴシキじゃなくてナナイロとかにすればよかったのに。

  • Red-rumped Parrot(ビセイインコ)

オーストラリア南東にしか生息していない固有種だそうです。写真のように、鮮やかな緑色に加えて尾の辺りに赤い羽毛が生えている(= Red-rumped)のがオスで、メスは全身オリーブ色。名前の通りとても綺麗な声で鳴くようですが、まだ聞いたことはないです。

  • Australian White Ibis(オーストラリアクロトキ)
頭と尾が黒く、身体は白い羽毛に覆われた大きなトキの仲間です。今の時期、Canberraでは見かけませんが、Sydneyで嫌というほど見かけました。日本では絶滅してしまったトキですが、オーストラリアには沢山いるんですね。

video

動画はSydneyのHyde parkでサンドイッチを食べていた時におこぼれを貰いに来た生意気なIbisです。こんな感じで街中にたくさんいます。ちょっと考えしにくいかもしれませんが、日本で言うカラスとかハトのような存在みたいです。


④ コアラ

カンガルーと並んでオーストラリアを代表する動物となっているこの動物は、コアラ科コアラ属の唯一の種です。つまり、コアラという種類しかいません。しかし、一口にコアラと言っても、実はオーストラリアの中でも、南北で見た目がかなり違うようです。北部に生息するコアラは比較的小さく、南部に行くにつれ大きくなって毛がもっさりしてあまり可愛くなくなっていきます(ベルクマンの法則ってやつですかね)。御存知の通り、ユーカリの葉を主食としていて、一日のうち22時間くらい寝ています。写真はTidbindilla自然保護区で見た野生のコアラです。

睡眠コアラ

覚醒コアラ

video
動くコアラ


⑤ ???

朝起きるのが早く、寒さに強い生き物





以上、オーストラリアで出会った野生動物を色々と紹介しましたが、実際にはまだまだ多くの生物が暮らしています。そして、オーストラリアで生活・観光していると、この国の人々が如何に自然や動物を大切にし、共生しようと努めているか、その文化を強く感じることができます。

畏怖すら覚えるような大自然に佇み、芝生を延々と貪り続けるカンガルーと戯れ、南天の星海の下でふと自分の存在を一生物として俯瞰してみると、日頃抱えていた多少の悩みなどどこかに消えてしまい、不思議と穏やかな気持ちに包まれます。

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病棟で実習していたある日、高血圧性脳症が疑われていたある患者さんに対して、上級医と共に眼底鏡を用いた診察をしていた際、患者さんに「私はここがANUの関連病院なのだと分かって入院しているし、私は医学生の勉強材料となる義務がある。好きなだけ診察して勉強してね、No worries」と言って頂いたことがありました。とても寛大な方でした。

"No worries"

この国の人々がよく使う言葉です。「気にすんな、大丈夫、なんとかなる」。オーストラリアという国が、多くの移民を受け入れ、多様な文化が融合し、自然を重んじ互いを尊重して助け合ってきた過去を持つ国であること。そしてそこで暮らす人々、特にCanberraの人々が皆とても人情深く、自然の中でのんびりと生き、穏やかな気質を持っていること。その文化性全てが、この言葉に顕れている気がしてなりません。

そしてCanberraで実習をしていて、改めて感じるのは「人」の価値の重要性です。

医療技術が発達することで患者に与えられる医療レベルの質は確かに上がります。しかし、本質を見失い、リテラシーを損なった場合、医師は発達した技術に信頼を置きすぎ、患者はより高い技術ばかりを求め、相対的に「人(=医師)」への信頼は低下してしまいます。

もちろん、エビデンスや技術はとても大切ですし、医療の質を向上させるために進歩させていく必要がありますが、やはり最後に、そして最も重要なファクターとして、自分の頭で考え、互いに共感し、安心感を与えられる「人」を、当然忘れることはできません。例えAIの診断力が人間を凌駕したとしても、その"人間らしさ"は損なわれてはいけない医療の側面だと感じますし、それこそがValue Based Healthcareの成立に最も重要な観点だと考えます。

前回の記事で、電子カルテがないことを嘆きましたが、逆に極端な話をしてしまえば、電子カルテがないからこそ生まれる医療者同士の会話もあるわけです。効率性というメリットを考えれば間違いなく導入されるべきとは思いますが、その良し悪しは別として、そこには"人間らしさ"がある、と見ることもできるのです。マスクが使われていないことにも、そうした意味合いを見出すことができるかもしれません。これも、それがエビデンスの観点から良いか悪いかは別問題です。最終的には、合理性と人間性を天秤にかけて、丁度いいところを探っていく必要があり、これが最も難しい部分なのかもしれません。

もちろん、決して日本の医療に人間らしさがないと言っているわけではありません。むしろ、日本は客観的に高いレベルで患者中心のValue-Based Healthcareが行われている、と評価されている国の1つでもあります(参照: http://vbhcglobalassessment.eiu.com/)し、少なくとも医科歯科附属病院では患者さんが人間らしく生きるための、患者中心の医療が行われている、と昨年の病院実習で感じました。

それでも、日本の現状として、モノや技術、情報、サービスの価値が上がりすぎて、「人」への価値が相対的に下がっているのではないか、と個人的に思ってしまいます。世界の中で相対的に観て自殺率が高いのも、労働環境が悪いのも、「人」以外のものの価値を追い求め過ぎる結果、人間らしさが忘れられ、権利が忘れられ、「人」としての価値が擦り減らされている部分があるからではないか、と思ってしまうのです。もちろん、個人的な意見ですし、言うは易し行うは難しな問題なのですが、漠然とそう感じます。少なくとも心構えとして、まず人間としてハッピーに生きるために、"人間らしさ"を忘れちゃいけないな、と。この国での生活は、そんなことを改めて思い出させてくれる気がします。

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まとまりのない文章を色々書いておいてアレですが、その国にはその国の歴史や文化の形があり、どれが正解ということはないと思います。なにはともあれ、一つの形として、ここで学んだ"No worries"の精神を忘れずに生きたいな、と思った次第でした。

全然関係のない話を長々としてしまってすみません。早いもので1クール目の実習のうち3週間が過ぎてしまいましたが、Neurologyの残り1週間、そして次のクールのAnaesthesia:麻酔科も気合を入れて頑張っていきたいと思います。

では(^o^)丿

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