2017年5月10日水曜日

ANU臨床実習 ~Neurology編~

こんにちは、5-6月にオーストラリアは首都Canberraの、Australian National University(以下、ANU)のCanberra Hospitalで臨床実習をしています、とんくらです。

オーストラリアに到着してから2週間近くが経過し、こちらの生活にも随分慣れてきました。実習も2週目に入り、ANUの実習スタイルが分かり始めたところで、こちらでの実習生活について少し記事を書いてみようと思います。



私が5月に実習しているのはNeurology(神経内科)です。入院患者の多くはやはり脳梗塞の患者ですが、MS(多発性硬化症)やADEM(急性散在性脳脊髄炎)などの患者も入院しています。実習スタイルは科によって異なるのですが、Neurologyでは基本的にはStudent Observerとして立ち振舞うこととなっています(お客さんのような感じ?)。Dutyとしては、

  • Paper Round:毎朝最初に行う、患者の引き継ぎや入院患者についての簡単なカンファ。
  • Ward round:Paper Roundの後行われる回診に付いてまわる。
  • 各種Meeting:多職種間、放射線、脳外科合同など様々なカンファに出席する。
  • Journal Club:抄読会。先週行われたJournal Clubでは、つい1ヶ月程前にNEJMのトップを飾り話題となった、"Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica"が取り上げられました。プラセボってほんと凄いですね。
  • Bedside Teaching:上級医のもとで、問診の流れや神経学的所見の取り方、異常所見などについて実際に入院されている患者さんに承諾を得て実践的に学ぶ。
  • Lecture:上級医による講義、水曜日には医学部生の共通講義もあります。

などに出席することとなっています。その他の時間は基本的にはフリーで、何をしてもOKです。研修医(こちらでは1年目はIntern、2年目はResidency、専門科研修中の先生はRegistrarと呼ばれます)の先生の仕事に興味があればお願いして付いていくもよし、検査を見たければ付いていくもよし、コンサル(他科からの相談)の先生に付くもよし、外来見学するもよし。

お客さんということで、どのチームについても良いですし、何もイベントがなさそうならちょっと気分転換に中心街に出かけるのもありです。とにかく自由な印象で、先生方はどんな質問でも受け付けてくれます。とは言え、何も言わなければ放置状態なので、積極的に色々なイベントに随伴させてもらっています。

金曜日にはNeuroradiology meetingといって、神経内科医、脳外科医、放射線科医が集まって画像をもとに症例検討します。ちょっとレベル高すぎてついていけないことが多いですが、隣の先生に聞いたりして何とか喰らいついております汗

また、ANUの学生はカリキュラムの一環としてLong Case(既に過去の記事で説明されているアレです)を何例か経験しなければならないので、私も時々それに随伴しています。現在NeurologyにはANUの学生が4人も周っているので、Long Caseの患者さんを探すのも大変そうです。

ただし、今週はThe Australian & New Zealand Association of Neurologists(ANZAN)というオセアニアの神経内科学会 @Gold Coast が、5/9-12の日程で開かれるということで、上級医の先生がほぼいません!そういうわけで、今週は上で書いたDutyがほとんどなく、少し暇してます笑

水曜日のお昼はGround Roundという病院全体のイベントが開催され、様々な科から毎週2人のプレゼンターによる症例報告や講義が30分ずつで行われます。開始前にはサンドイッチやミートパイがふるまわれるので、毎週通ってます笑 今回はObesity Hypoventilation Syndrome(OHS, 肥満肺胞低換気症候群)の症例報告と、Hemophilia(血友病)治療の歴史に関する講義でした。美味しいし面白いので毎週楽しみです。



さて、既にTTやAmyが過去の記事でも触れていますが、実際に実習に参加してみて私が感じた中で、日本(医科歯科附属病院)との違いを挙げるとすれば、

● 紙カルテ!
電子カルテが導入されていないため、入院患者の情報はフォルダにまとめられ、紙カルテとして各病棟に置かれています。情報漏洩の心配は少ないとはいえ、やはり医科歯科での実習に慣れている身としてはとても非効率に思えてしまいます(*_*; 一応、外来と病棟にPCはあり、検査記録や画像参照などは可能なのですが、数が限られているので十分に機能しているとは言えません。そして先生方の字が達筆過ぎて読めない…。クセが凄いんじゃ…。

● 白衣なし、マスクなし
医師は皆、白衣は着ずに、セミフォーマルな格好で仕事をしています。おしゃれなワンピースを着ている女医さんもいました。個人的には、なんとなくかっこいいのでこのスタイル凄く気に入ってます笑 ただマスクをしないのは感染防御の観点からどうなんだろうと思ってしまいます。お互いの表情をしっかりと見られるという意味では良いのかもしれません。

● ポケベル
医師同士の連絡はPHSではなく、ポケベルを使っており、かかってきた番号に医局の固定電話からかけ直す(なんか面倒な上に、このポケベルの着信音がやたらうるさい!もう少し音量設定下げればいいのに…)という仕組みになっています。先生によっては携帯電話で連絡したりもしています。

その他、神経診察がちょっと違ったり、スタッフステーションで軽飲食してたりと、やっぱり色々と文化が違うんだなあと思う毎日です。それでも(当然といえば当然ですが)、行われている医療そのものにそこまで大きな違いは感じられません。例えば、昨年私が神経内科をローテートした際に議論になっていたワーファリンとNOACの選択について、似たような検討がここでも繰り広げられていました。Meetingで議論される診断や治療方針には常に最新のエビデンスが適用され、患者に何が起きているのか病態生理を考えながら、最終的には患者・患者家族の方針に沿った医療を行う、という原則は主要国で共通なのだと感じます。

でも電カルの有無は本当に大きい…笑



ところで、既にこのブログでも紹介しているように、医科歯科大では現在、Harvard大学やNevada大学、国立台湾大学など、海外臨床実習先として様々な選択肢が用意されています。その中でも英語圏かつ自分の興味のある科を高い確率で選択実習できるのが、ANUの良い点ではないかと感じていますし、それが実際に私がANUを選択した理由の1つでした。

というのも、個人的に神経科学・神経医学に興味があり、海外での臨床がどのようなものか、是非見聞したいと思っていました。加えて、様々な土地を旅してその文化と歴史を体感することが好きなので、自分にとっては大変貴重な機会となっています。

もし医科歯科の海外臨床実習プログラムに興味のある下級生がこの記事を見ているのであれば、そうした観点からANUでの実習の良さを感じ取って貰えれば、と思います。また、ANUに限らず、このブログを通して各実習先で学べること・経験できること、ひいては海外臨床実習の面白さを味わってもらえれば幸いです。

真面目な話が多くなってしまいましたが、次回はオーストラリアでの生活や旅行記などについて記事を書いてみようかなと思います。

こちらに来る前にSydneyを旅行しました。Sydneyは様々な文化がごっちゃ混ぜの、オーストラリアらしい楽しい街でした。写真はMrs. Macquaries Pointからの夕景。少しアクセスは悪いですが、Opera HouseとHarbour Bridgeを一緒に眺められるオススメポイントです。

それでは~(^o^)丿

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