2017年5月9日火曜日

マサチューセッツ総合病院 腎臓内科

初めまして、ハーバード関連病院で実習中のTAです。4月は4週間マサチューセッツ総合病院の腎臓内科で実習したのでその経験をシェアいたします。

アメリカの内科病棟の仕組み
日本では、病床数の多い大学病院や市中病院では専門科ごとに病床を持っていますが、アメリカでは、同様の大規模病院でも、内科は一般内科(General internal medicine)病棟のみで、内科専門科の関与は基本的にコンサルテーションという形で行われることが多いです(もちろん例外もありますが)。

腎臓内科と実習内容
マサチューセッツ総合病院の腎臓内科には、consultICU consult(集中治療室入院患者の腎臓・電解質管理)、transplant(臓器移植後患者を扱う)、dialysis(血液透析)の4チームがあり、私はconsultチームで実習を行いました。各チームはattending(専門医の主治医)、fellow(後期研修医)主に1年目、レジデント(初期研修医)、医学生で成り立っており、私がいたときは、レジデントがいなかったため、attendingfellow、私の3人でチームとなっていました。consultチームのattendingfellow2週間で入れ替わるため、前半と後半で私以外は異なるメンバーでした。
コンサルテーション業務は、マサチューセッツ総合病院の(ICU以外の)一般病棟すべて患者が対象で、一時に1020人の患者をチームで担当していました。私自身は、一週目は電子カルテへのアクセス権が与えられるのに時間がかかり、見学型でした。二週目以降は、日々45人の患者を受け持ち、新しいコンサルテーションのファーストタッチ(最初の挨拶、詳しい問診、診察)、回診、attendingへのプレゼンテーションやカルテ記載などを行っていました。コンサルであってもカルテは毎日記載しますが、記載したカルテは、Fellowが必要に応じて編集し、それに対してattendingが補足を付け加えるという形でした。また、新しいコンサルテーションが入った際や病状の変化があった際は、腎臓内科に備え付けのラボで尿沈渣を自身で実施し、診療の補助としていました。

学生向け講義
クルズスのような学生向けの定期の講義はありませんが、fellowは空き時間にホワイトボードでの講義を30分から1時間ほど数日おきに行ってくれました。内容は急性腎障害(AKI)、慢性腎臓病(CKD)、電解質、輸液についてなどでした。また、fellowattendingともに、プレゼンの度に具体的にどうしたいかや関連事項の質問を聞かれ、(勉強不足で恥ずかしいながらに答えられないことが多いが、)かなり勉強になりました。

一日の流れ

6:00-7:00
担当患者のカルテを見て、前日〜当日朝までのイベント、血液検査値などを確認。
7:00-8:00
Pre-roundfellowとともに担当患者の回診(担当患者に関しては自身で問診や診察)
8:00-9:00
朝のセミナー(ない曜日もある)
9:00-10:00
Team meeting:チーム3人で担当症例のディスカッション、診療方針決定(担当患者に関しては1-2分のプレゼンテーション)
10:00-11:00
Attending round:チーム3人で回診(Attendingによってはなし)
11:00-12:00
カルテ記載
12:00-13:00
昼のセミナー(ない曜日もある、昼食が出る)
13:00-16:00
カルテ記載、フォローアップ、尿沈渣、新しいコンサルテーションのファーストタッチなど
16:00-17:30
新しいコンサルテーションAttendingへのプレゼンテーション(5分程度)、継続患者に関するチームミーティング

一週間のセミナー
教育的なセミナーが非常に多く、以下のものに毎週に参加しました。
月(昼)
MGH Renal Ground RoundsMGH腎臓内科の招聘講義(例:UCSF助教授による高齢者における高血圧管理の講義)
火(朝)
MGH/BWH Combined Renal Ground RoundsFellowship(後期研修医)プログラムはBrigham and Women’s HospitalBWH)と合同であるため、BWHとビデオ通話でのfellowの症例発表や招聘講義
水(昼)
MGH/BWH Fellows ConferenceFellow向けのBWHと合同のセミナー(例:BWHattendingによる血液透析導入判断の講義)
木(朝)
Medical Ground Rounds:内科全体の招聘講義(例:Rockefeller大学教授によるHIVワクチンや抗体医薬の臨床研究の進捗)
金(朝)
Transplant and Dialysis Conference:腎移植や透析に関するセミナー(例:MGHattendingによる腎移植後患者の免疫抑制剤の臨床治験)
金(昼)
Renal Pathology Conference:腎生検が行われた症例に関しての生検標本の供覧を含めた症例発表と検討
不定期
Case Records Conference: New England Journal of MedicineCase Records of MGHのカンファレンス(論文から予想していた以上にカジュアルで、教育的な内容であった)

先週からは、ブリガム アンド ウィメンズ病院・ダナファーバー癌研究所の骨髄移植を回っているので次回はそれについて少しお話しします。


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