2017年3月21日火曜日

アメリカ医学生のマッチング事情を垣間見た話


こんにちは、S.K.@Vanderbilt です!

今回は、アメリカの医学生のマッチング について書きたいと思います!


先日とあるイベントに参加してきました。
その名も、Match Day .
https://medschool.vanderbilt.edu/student-affairs/match-day

これは大学が主催するOfficialな行事で、
Vanderbilt大学4年生のマッチング先を公表するという趣旨のイベントです。

イベントの説明をする前に…!


そもそも、アメリカのマッチングシステムとはどんなものなのでしょうか?

日本では、
①医学生が希望する初期研修先の病院の採用試験を受ける。

②病院側は、採用したい順に受験者のリストを作る。

③医学生側も、希望する病院順にリストを作る。

④病院側、医学生側のリストをもとに、初期研修先がマッチングされる。


これに対してアメリカも、基本的なマッチングの仕組みは同じです!

異なるのは、アメリカの場合はResidency Programの試験を受ける段階で、その後進むSpecialityを決める必要があるという点です。


つまり、日本の初期研修医はスーパーローテートしますが、
アメリカでは 「●●科 Resident」といったように研修医がすでに専門科に配属されているのです。

そのため、「マッチング先の決定」というのは、「ある病院の、希望の科に合格した」ことを指します。

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この前提をもとに、Match Dayのイベントについて、以下詳しく説明いたしましょう。

一言でいうと、このイベント、本当に派手なのです!!!

まず、会場である大きな講堂に入ると、きれいな司会のお姉さん。


司会に名前を呼ばれた学生は
自分の人生を振り返る写真で埋め尽くされたスライドをバックに、
イケているBGMが流れる中、ステージに上がり、Residencyで何科に進むかを宣言します。

学生本人だけでなく、家族や恋人も一緒にステージに上がります

そして、司会からマッチング先が記された白い紙を渡されます。

そう、この時点で学生は、
自分のマッチング先がどこになるのか知らないのです!

さぞや緊張することでしょう。

そして一言スピーチしたあと、
白い紙を開けてマッチング先を確認し、
全員の前で高らかに発表します!!

会場には大観衆。
マッチング先の宣言には拍手喝采でこたえます。

これはエンターテイメントなのです!
まさに、オスカーのアカデミー賞の授賞式のような華やかさでした。

このマッチングイベント、Vanderbilt大学に独特のものではなく、
アメリカ国内の大学ではどこでも行われるそうですよ!


個人的に、日本と比較して印象的だったことは以下の通りです。

大学側は、自大学の学生が他大学・他の病院へマッチしたことを盛大に祝福している。

→ (私見だが)日本の医科大学は、学生が外の病院で初期研修することを歓迎しない印象があるのと比べて対照的だと感じた。
理由として、アメリカでは日本のような医局システムがない背景が関係しているのかもしれない。

●マッチ先を確認した学生自身は、ガッツポーズや涙を流すなど、全員歓喜していた。

→ 日本であれば、学生は希望の研修先にマッチしても「他の人に悪いな」とか、「恥かしいな」などの思いから、控えめにしか結果を主張しない。それに対し、アメリカの医学生は高らかに宣言し、歓喜している。
また、(本音はわからないが)希望順位の低いところにマッチしたからと言って残念がる人は、誰一人としていなかった。

追記:アメリカ人の指導医の先生によると、強く希望していた病院にマッチした人以外は、本当はあまり喜んでいないらしいです。
大観衆を目の前にしては、悔しがる様子を見せられないというのが、学生の本音なのでしょう…そう考えると気の毒にも思えます。

観衆側も、Match Dayを心底楽しんでいた!

→ 学生一人一人をリスペクトし、マッチングを人生の門出として大歓声で祝福していた。


ちなみに、Vanderbilt大学の今年の4年生は
1学年約100人中、Vanderbilt大学病院に残って研修をする人は15人でした。

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イベントに参加したことで、
アメリカのマッチングの傾向について気になったので、
調べてみましたーー!!

<2017年度のResidency Programの動向の要点>

●プライマリケア
近年、Primary CareのResidency Program枠が急増している。
2012年以降、Internal Medicine(内科)・Family Medicine(家庭医療)・Pediatrics(小児科)の枠は合計2,900増加した(25.8%増)。いずれも95%以上の高いマッチ率である。

●その他
・救急科は2017年度の募集枠に対して99.7%マッチした。2012年以降、379枠募集枠が増加した(23%増)。
・精神科は2017年度の募集枠に対して99.7%マッチした。2012年以降、378枠(34%)だけ募集枠が増加した。
・その他のスペシャリティーで高い競争率であったのは、形成外科、整形外科、耳鼻咽喉科であった。


つまり、超ざっくり纏めますと、
★プライマリケア(内科・家庭医療・小児科含む)の医師数が将来的に増えるであろう。
★救急科・精神科・形成外科・整形外科・耳鼻咽喉科の競争率が高い。

ということがわかります。
詳しい記載は、以下のURLに掲載してあります。

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アメリカのマッチング事情、如何でしたか?

マッチング結果は、
将来の医師数の動向に関わる≒医療体系の未来予想図とも考えられます。

トランプ政権になってから、医療費が大幅に削減されるというニュースもありますが(http://www.cnn.com/2017/03/16/health/trump-budget-medical-science-huge-cuts/)、今後もアメリカの医療の進む方向に注目していきたいものです。

長文にお付き合い頂き、ありがとうございました!

S.K.

参考(2017年3月20日閲覧):
http://www.nrmp.org/press-release-2017-nrmp-main-residency-match-the-largest-match-on-record/
こちらのページから、
アメリカ国内でMatch Dayがいかに祝福すべき日と見なされているかや、
国内のマッチング結果の詳しいデータについて調べることが出来ます!
前述したマッチング結果の要点は、基本的にはこのサイトの内容を日本語訳したものです。

追記その2
Match Day を題材にしたこんなパロディ動画もあるようです(笑)
http://zdoggmd.com/ama-003/


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