2017年7月8日土曜日

Elective終了―ありがとうございました

ボストン小児病院とマサチューセッツ総合病院での実習を終えて帰還しました、Mariです。
6月をもちまして2017年度の海外臨床実習に派遣されていた医科歯科生全員が帰国しました。
3月から4カ月間、アメリカ、オーストラリア、イギリス、タイ、台湾、そしてガーナと様々な国・地域での臨床実習・生活の様子をお届けしてきました。読んで下さった皆様に楽しんで頂けたら幸いです。つたない体験記ではありますが、これから海外臨床実習を考えている医学生の助けになっていることを願っております。
現在多くの医学部で研究留学や海外臨床実習の制度が整い、個人の語学留学などを含めれば医学部生活で留学を経験する学生は少なくありません。海外に行く意義は人それぞれだと思いますが、これから留学へ向かわれる皆さんの旅路が幸多きものになりますように!

2017年6月20日火曜日

ラスベガス 外傷外科

こんにちは。Yokoです。6月も終盤に入り、ラスベガスではつらい季節が始まりました。今日の最低気温は30度、最高気温は47度だそうです。到着翌日の42日以来雨が降っていません。日中外に出ると息が苦しいです。でも病院内は寒いです。7月に入るとモンスーンの季節らしいですが、その到来より先に日本に帰国できそうです。

そんなラスベガスでの最後の1か月は外傷外科で過ごしています!なので今回は外傷外科の紹介をしたいと思います。

外傷外科って聞くと多くの人は「骨折を治したりするんでしょ」って想像すると思います。私もそう思っていました。Nevada州で唯一のLevel 1 trauma centerなんだから、そんな手術を多く見て帰ってくるのもいいかなって軽く考えてました。

しかし回ってみると実際は大きく違いました。まず外科なのに手術を見ません!大きいものは週に2件くらい?
じゃあ何をしているのかというと、実際は重症専門の外傷ERです。外傷ERにはERドクターと外傷外科ドクターがいて、軽症はERが、中症~重症は外傷外科がファーストタッチを担当します。これにはちゃんと基準があって、救急隊からの連絡時にナースが振り分けをします。事故の状況やバイタルを参考にして振り分けますが、だいたいIntermediate(中傷)がたぶん大丈夫だけど運が悪ければ命に関わる傷で、Full(重傷)がショック状態など命に関わる傷です。普段は救急隊の連絡から想像した通りの患者さんが来ますが、たまにオーバートリアージもあって、銃で撃たれたfull activationと聞いて準備万端で待っていたのに、実際はBB弾で撃たれただけだったなんてこともありました。

もちろん本当に重症な人が運ばれてくることもあって、そんなときは胸骨圧迫しつつラインを取ったり、オペ室に直行したりします。外傷外科で行う手術はこのような超緊急な手術がメインとなります。私は肘をガラスで大きく切ってしまった方の神経と血管の再建や、クラムシェルと呼ばれる手術を見学することができました。胸を横に大きく開く大胆な手術です。気になる方はグーグルとかで調べてみてください!画像はちょっと衝撃的です。これらの手術は血管外科などにコンサルして一緒に手術したりもします。アメリカはコンサルがホントに多いです。逆に外傷外科が他科からコンサルされることも多いです。
他には外傷性気胸が胸腔ドレーンでなかなか治らなかった時の手術や、気管切開などをちょこちょことやっています。ちなみに骨折などで手術が必要な方はほぼ全例を整形か形成にコンサルです。

また、外傷外科はこちらのERと違って入院患者さんも見ます。朝回診に行ってる時も急患が来るとポケベルで呼ばれるので、日によってはとても忙しくなります。夜勤帯からずっと忙しくて、朝回診が終わったのが結局夕方になってしまったこともありました。

研修医の先生はそんな日々を7時―19時か19時―7時の12時間勤務+引継ぎの時間×週6日なので大変です(週80時間制限ギリギリ)。学生も大変ですが、事務仕事がない&重症しか見ないのでとても充実した毎日を送っています。朝早くて夜遅い方が外の気温も低いです。悩みは血が怖いことくらいです。外傷なので血に触れがちですし、こちらはHIVHBVHCVが蔓延しているので、いつも以上に感染対策は厳重です。

最後に私が2週間で見た患者さんのグラフを載せます。コンサルなどは抜いているので、純粋に救急車に乗ってきた患者さんだけです。
交通事故の中身は車orバイクがほかの車や壁にぶつかる事故がほとんどを占め、逆に歩行者が絡む事故は少ない印象です。暑いから歩行者が少ないんでしょうか。また、こちらの車はよく転倒(rollover)しますし、患者さんは投げ出され(ejected)もします。大体スピードの出しすぎ+シートベルトをしなかったり、エアーバッグ無しの車に乗ったりしているのが原因です。刺創や銃創に関しては夜勤帯だとさらに増えると思います。




2017年6月14日水曜日

最後の1ヶ月。


レイです。


日本の友達とLINEしてると、ほぼ必ず

「今どこいるの?」

って聞かれます。



さあ、どこでしょう?





あ、結構都会にいるのね?






TOYOTAにNISSAN・・・

もしかして日本帰ってきた?






あ?!日本てどこだよ?!引き金引くぞオラ!




正解は・・・・・




ガーナです!




ということで、ガーナの様子をお伝えします。




雰囲気としては、個人的にはフィリピンに似てる気がします。

治安は断然こっちの方が良いけど!


でも自分の肌の色があまりにも周囲と違いすぎて、変に目立ちすぎて、最初は外を1人で歩くことも躊躇っていました・・




こっちに来て1番驚いたのは、


トイレ

です!




韓国のゲストハウスでは、トイレットペーパーは流せませんでした。



タイも水洗トイレでしたが、紙は基本的に流せませんでした。



フィリピンではお金持ちの家にホームステイしていましたが、トイレは水洗ではなく、シャワーから水をバケツに汲んで流していました。

トイレットペーパーなんて、もちろん流せませんでした。




この流れでガーナときたら、確実にフィリピンのトイレ以下を想像するじゃないですか!




しかし!




ここガーナではトイレが水洗トイレなんです!

少なくとも私の住んでるとこは。




それだけじゃない!




なんとトイレットペーパー流せます!!




日本人としてこれほど有難いことはない・・・


もちろん地域によるんでしょうけども。

(追記:やっぱりアクラを離れるとトイレは水洗じゃありませんでした。)




道を歩けば、

「チャイナ!」

「ニーハオ!」

と言われます。


まーこれは世界共通か。



たまに、

「チャイナ?ジャパン?」

と聞いてくる人もいます。



彼らにコリアという選択肢はないんだろうか。

韓国人はあんまりアフリカとか来ないんかね。



でも、

「韓国人と結婚したい!紹介して!」

っていう韓流ドラマ好きなおばちゃんはガーナにもいます。



これも世界共通なんですかね。




こっちでは女の子は皆ほぼ坊主みたいな髪型してます。


暑いからかな、と思ってたんですが、

大学より前の学校では髪を伸ばすことが禁止されてるみたいです。



じゃあどうやって男女を見分けるかというと、、、



耳です!



女の子は生まれてすぐにピアスの穴を開け、そこからずっとピアスしてます。


男の子はしてません。


だから、患者さんの性別も耳を見れば分かります。




ガーナでは頭に商品を乗せて売り歩いてる人が多いです。



子供時代に川だか井戸だかに水を汲みに行って戻って来る時に、バケツを頭に乗せて帰って来るので、自然とバランスが取れるようになるらしいです。



この状態で、商品を買ってくれそうな人のところへ全力ダッシュします!





しかし、ぶれません!



このアフリカ人特有のバランス能力、絶対なんかもっと他の事に使えるよ!




首都アクラは渋滞が酷くて、ドライバーみんなイライラしてるし、クラクションの音が絶えません。


車線はあってないようなものです。

前の車が遅かったら、当たり前のように対向車線に入ります。

パトロール中のパトカーも対向車線走ってます。


ちなみにこっちの警察官は、制服着たまま女の子ナンパしたり盗撮したりします。

この街の治安を彼らに任せといていいのかね。



アクラをちょっと抜けると、車はだいぶ減ります。

だから皆ものすごいスピードで車を飛ばします。

ただ、道の脇からヤギを始めとして色んな動物が飛び出してくるので、要注意です。

こないだドライバーがニワトリ的なものを1羽はねてました。




あと、時間にルーズです。

ちゃんと時間通りに動いてる時計を殆ど見たことがありません。


ドクターの腕時計なんて2時間遅れてますからね。

よく普通に生活できてるよな・・




食事について。




水はこういう袋に入ってるのを歯で引きちぎって飲みます。

もちろんペットボトルの水もあります。



朝はパンやチーズ、フルーツなどを食べ、お昼は病院でガーナ食が出ます。


でも、ここガーナは、



お昼が遅い!!


基本14時で、それより遅くなる時もあります。


ガーナ人いわく

「朝食がヘビーだからお腹空かない」

そうです。

ガーナ人の朝食。
豆とプランテーン(私からすれば完全にバナナ。でも違うらしい)を揚げたもの。


確かに(量というよりも味付けが)ヘビーなんだけども、彼らと同じ朝食を食べても私は正午にはお腹が空きます。


結局育った環境の違いなんでしょうな。



夜は自分で野菜やら肉やらお米やらを調理して食べています。



地元の人達が食べてる料理は、ペペっていう唐辛子てきなものが大量に入ってて、


辛い!!


だから辛いもの苦手なんだって!



それから、キャッサバっていう植物やトウモロコシの粉を発酵させて作った、バンクーとかケンケって呼ばれるガーナ人の大好物があるんですが、



異常に酸っぱい!!


バンクーを食べようとしてるところ。手づかみで食べます。


「辛いスープと一緒に食べるから酸っぱく感じないのよ♡」

とか言われたけど、、



・・・・・・それ辛いじゃん!!



ガーナ食に完敗。



でも似てるやつで、フフっていうお餅みたいなのは食べられます。

これは発酵させてないから酸っぱくない。

フフを作ってるところ。こういう風にお鍋で作るやり方と、
お餅つきみたいにぺったんぺったんやる方法の2通りあるらしいです。


ご飯とかチキンとかお魚も美味しいです。


なんとか生きていけそうです。




宗教について。


ガーナ人の殆どはキリスト教徒です。


医学部には各学年にその学年代表の牧師さんがいるらしく、日曜日の夜に皆で集まって歌ったりお祈りしたりしてます。


街を行き交う車には、"No Jesus No Life"とか"God is alive"とか書いてあります。

たまにAllahバージョンも見かけます。



研修医の車に乗れば、

君は空がどうやって造られたと思ってるの?!

もしかしてビッグバンセオリーやエボルーションセオリーを信じてるの?!

的な議論をふっかけられます。




昨日ブログを書こうと思ったら、停電しました。

真っ暗になるし、扇風機止まって暑いし、インターネット使えないし、なんか原始人みたいな気分になります。


こうやって日常の有難みに気付くんですな。



ではでは。

恐らく今はガーナも日本も最高気温はそんなに変わらないんじゃないかと思うので、熱中症に気を付けてお過ごしください。


実習についてはまた書きます。


2017年6月2日金曜日

台湾と日本の違いで印象的だったこと

どうも、けろです。
長かった台湾生活も明日でおしまいです。振り返ってみると日本・台湾両方で様々な方にお世話になったなぁと感謝、感謝です。

ちょっとどこに置けばいいのか分からなかったことを↓に。

台湾に行く前は何人かの人から「台湾だと日本より医療水準は低いよね」と言われたりしましたが、私はそうは思いません。確かに平均寿命や疾患の生存率などから見ると日本よりは低いかもしれませんが台湾は先進国に含まれますし、医療を形作るキーとなる保険制度は日本のものを参考に十分練って作られているだけあって非常に優れた皆保険制度として機能しています。NTUHで見た限りでは当然ながら最新の知見へのアップデートも積極的に取り組んでいますし、海外への意識の向け方や分業については日本よりもはるかに先を行っています。


さて、最後の投稿は今まで書いてなかったものを中心に、台湾と日本の違いで印象的だったことを雑多に書いてみました。外国の中では日本とかなり似ている国だと思いますが、だからこそ違いについて考えやすかった気がします。



医療的なもの
・院内の人間関係がフラット
学生であろうが、職種、地位、年齢が違おうが日本に比べてかなりフラットに接していました。中国語にも敬語のような相手の呼び方があるのですがほとんど使っていませんでした。気軽に冗談を言い合うし、とにかくよく笑って仕事をしていました。
とにかく風通しがよく、ヒエラルキーみたいなものは全く感じませんでした。
(唯一、とある教授のオペは感情表現があまりにも激しく部屋に居るのが憚られる雰囲気でした^^; オペ室外では優しいのですが、オペ室ではオペ看から器具をひったくるように取ったり、助手を怒鳴ったり、器具を投げたりとコワイことで有名だそうです(´ω`))

NTUは国際志向が高い
押しも押されぬ台湾トップの大学ということもあり、学生の海外留学が盛んです。学年の半数は海外臨床実習をするそうで、2カ国以上行くのも珍しくありません。日本の大学だけでも10以上の大学と交換留学の協定を結んでおり、ヨーロッパ各国へも多く行っています。あまり選ぶ人はいないそうですが、臨床実習ではなく研究実習も選ぶことができるそうです。

NTUHに研修後も残るのは非常に狭き門
心外のところでも書きましたが、大学卒後はPGY、レジデントとして大学病院・市中病院で働いた後は市中病院に行くのが一般的なルートです。
NTUHでアテンダントとして働くには毎年審査があり、勤務状況や執筆した論文などについて評価されるそうです。毎年最低でも1つは論文を投稿しないといけないというのはかなり厳しい基準ですよね、、、

・大病院への患者集中が激しい(らしい)
NTUHでしか実習していないので学生から聞いた話ではありますが、保険制度がフリーアクセスなので通常診療だろうが救急診療だろうがNTUHのような有名大病院に患者が集中してしまっているそうです。
特に救急は深刻で、救急受診費が安いこともあり廊下まで患者が溢れています。あまりにも軽傷の119番が多いので台北市では救急車を軽傷では有料にしたそうですが、それでも安く焼け石に水状態だそうです。
当然医療の質も確保しにくくなってくるのですが、小児診療無料化を行なっている日本の一部地域と似ているような気がします。

日本は病院の機能分化を掲げて大病院への患者集中を緩和しようとしていますが、台湾ではそのような方向性の動きはないそうです。

大学病院での教育という面ではコモンな疾患から稀なものまで大学病院に集まってくるので都合が良い面もありますが、このままではパンクしてしまうのではという印象も受けました。


その他
・男性には1年の兵役義務がある
台湾は兵役義務があり、多くの男性は大学卒業後に1年間従事します。医学科卒業生は、一般と同じ兵役義務を果たすか簡単な医療行為を含む特殊な兵役かを選ぶことができるそうです。特殊な方では主に訓練に伴う筋肉痛やスポーツ外傷のような外傷の診療をして、鍼灸が役に立ったとか。

・義務教育で拳銃の実技がある
上記と似ていますが、こちらは男女ともにやるそうです。大陸との戦争が金門島という離島とはいえ最近まで続いていたこともあり、日本よりも軍事の身近さを感じます。

・公共交通費が安い
台湾の物価は日本と比べると安いですが、スタバは日本より高かったり台北の地価は23区と変わらないとか言われてるくらいなので、実はそこまででもなかったり^^;
ただ、公共交通は本当に安いです。

バスの運賃はゾーン制初乗り15(60)で市街地なら大体この額で足ります。しかもゾーンを超えても15元追加されるだけなので破格です。地下鉄も1224元で大体移動が済むので本当に安い。
予約などの旅客システムが使いにくいことで台湾人に定評のある台湾鉄道も日本の感覚からすると1/51/10くらいの値段で済んでしまいます。


以上、けろの最後の投稿とさせていただきます(個人的に聞きたいことなどあれば遠慮なくどうぞ~)。ありがとうございました。

2017年6月1日木曜日

ボストンでの日々とSweet Caroline


お久しぶりです。レイです。

なんやかんや忙しくてブログを書けずにいたら、もうボストンでの実習が終わってしまいました。


ボストンでは、Boston Children's HospitalPediatric Nutrition(小児栄養科)をまわっていました。


成長する子供にとって栄養はとても大事で、でも日本で栄養についてちゃんと習う機会って意外と少ない・・!

ってことと、

ガーナで栄養失調の子供をみる前に栄養についてきちんと勉強しておこう

ってことで、

Pediatric Nutritionを選びました。


科の人気度にもよるけど、5月のハーバードは割と希望が通りやすい気がします。



でもね、


5月のボストンってさっっむっっいんですよ!

他の人も言ってたけど。


ボストンに着いた当日は30℃とかあって、おっ!意外と暖かいじゃん!って思ってたら、翌日には10℃まで下がるという・・

空港から乗ったUberの運転手さんに言われた、「ボストンの天気はクレイジーよ」って言葉が良く分かります・・


荷物を増やしたくないし寒い国に行かない(と思っていた)私は、かろうじてコートは持ってきたけど、冬物の服なんて一切持ってきてない!

ちょっと厚手のカーディガンあったけど、タイで紛失したし。


優しい友達に使わないカーディガンやセーター借りたりして、何とか寒さを凌ぎました。。



何が驚きかって、日本人が冬コートに身を包みながら凍えてる中で、こっちの人はノースリーブで颯爽と歩いてたりしますからね。

寒い所で暮らしてると体が適応してくるんですかね。



かと思ったらいきなり30℃超えたりします。



やっぱクレイジーだわ。




ボストンは凄く綺麗なところです。

まーその前にいた所がタイだからそう思うのかもしれませんが。

都会っぽい中にも自然が沢山あって、温かい日には散歩をするのがとても気持ちいいです。

街中の公園



実習は主に栄養士のお姉さん達についてやっていたので、とても新鮮でした。


他の皆の実習みたいに、問診とって、がっつり身体診察して、処方する薬について考えて・・

とかいうことはあまりせず、

その子の現在の状態から必要なエネルギーや栄養素などを考えて計算しております。



ものすごい計算してます。



まずは自分でプランを考えて、栄養士さんにプレゼンして、アドバイスを貰います。


作業としては割と単純ですが、やったことがない分野なので、あーだこーだ考えながらプランを立てるのはなかなか面白いです。



医科歯科と違うなと思うところは、

医師、看護師、臨床心理士、栄養士などが割と対等にディスカッションしてるところです。


医科歯科のICUでは多職種回診を取り入れて、医師だけでなく色んな職種の観点からディスカッションをしようと試みてはいますが、
栄養士さんが何か言っても、医師が「いや、それはないでしょ」と言ったら、栄養士さんは「すみません・・」と引き下がってしまいます。


でも、こっちの栄養士さんは違います。


医師の話を遮って、"I don't think so," "I disagree," "Listen," と主張します。

栄養に関しては栄養士さんが一番知識も経験もあることを、栄養士本人含め誰もが知っているので、その意見を尊重しようという雰囲気がある気がします。

まーアメリカらしい個人主義のためというのもあるのでしょうが。


こないだ医師と看護師と栄養士が3人でディスカッションしてた時、同時に3人とも自分の意見を喋って、聞き役が誰もいないという状況を目撃しました(^-^;



あと、child life specialistっていう子供相手のスペシャリストがいます。

ピエロの恰好してギター弾きながら病院内を歩いてたり、病室に絵を描いたりしてるみたいです。



それと、病院のロビーには、子供達が楽しく過ごせるような様々な仕掛けがしてあります。



これ、一見普通のスクリーンのように見えますが、子供達が前を通ると、センサーが反応して、動物が出てきて子供の動きに合わせて動いたりするんです。



これ、一見普通の階段に見えますが、これまたセンサーが設置されていて、人が階段を登ると、それに合わせて軽快な音楽が流れるシステムになってます。


子供達はこれらの仕掛けが大好きみたいで、みんな楽しそうに遊んでいます。



BCHにあって、医科歯科も取り入れたらいいかなって思うこととかものとか色々あったけど、そもそも病院が持ってるお金が違うし、人々の性質も違うし、なかなか難しいことも多いかな、と感じました。

縦断チュートリアルとかハウスとかTBLも、アメリカ式をそのまま日本に持って来ようとしてもなかなかうまくいかないもんね・・



最終週に、ボストンレッドソックス VS テキサスレンジャーズの試合を観に行きました。

残念ながらダルビッシュ投手は見られませんでしたが。



学生は後ろの方で立ち見ですが、$9で観られます!結構おトク!


バスの時間が迫っていたので、途中でスタジアムを出ようとした時、Sweet Carolineという曲が聞こえてきました。

8回表が終わってレッドソックスの攻撃が始まる前、皆でこの曲を歌うのが恒例行事になってるみたいです。


この曲の中の、

"Good times never seemed so good"

という部分がとても心に響きました。


高い授業料は大学に払ってもらって、当たり前にBoston Children's Hospitalで実習できることがどれほど恵まれていることなのか、忘れかけていました。


後になって今を振り返って、あの時は気付かなかったけど、凄く恵まれていたんだなぁと思うんでしょう。



1週間のお休みをプロセメ時代にいたボルチモアで過ごし、来週からガーナでの実習が始まります。

学生時代にガーナの病院で1ヶ月も実習ができることに感謝しながら、後悔のないように毎日を過ごしたいと思います。


2017年5月28日日曜日

新・10大アメリカで驚いたこと



 先日、Harvard Medical School での二ヶ月間の実習を終え、日本に帰国しました。今回の記事では、ちゃんとした実習内容に関する内容から一転、気分転換がてら、私がアメリカで驚いたことについて、10個、ランキング形式で発表したいと思います!

10. High Five Boston!
 レッドソックスのゲームが終わった時間に外を歩いていたら、Redsocksファンだと思われるおじちゃんに、”High five Boston!”と言われてハイタッチをされました。試合があることが相当うれしかったのかなーも思ったのと同時に、アメリカンや!と思いました笑

9. チャイム
 町中を歩いていると、たまに日本の小中高で聞こえてくるキーンコーンカーンコーンというチャイム、聞こえてきます。ボストンで聞こえてくると思わなかったので、最初は空耳かと思いました。特に日本語学校が近くにあるわけでないので、割りとユニバーサルな音なのでしょうか。

8 . 歩行者信号
 信号で歩行者が歩くとき、日本ではどのようなおとがなるでしょうか?鳩のくるっぽーといった音がなりますよね。ボストンの町中を歩いていると同じような音がきこえてくるじゃないですか!そうなんです、ボストンの信号も鳩の鳴き音なんです!笑 帰国直前になってもたまにびっくりしています笑

7. コンサルの存在の大きさ
 こちらは、内科は特に主科というものはあまりなく、関わっているすべての診療科が同時に患者さんを持ちます。その為、例えば神経内科・内分泌・感染症・リウマチ科がコンサルを受けているために、患者さんは毎朝4回、医師の診療を経験することになります…(´∀`)

6. Post call
 こちらの医師は、internは週に80時間以上働いてはいけないというルールが有り、また、当直明けはPost callといって、家に帰って休まなくてはなりません。昔はそのような規定はなかったのですが、医療の環境の改善により、このシステムができたそうです。

5. 病院はショッピングモールのみたい?!
 これはLongwood Medical Areaに特徴的なのですが、Boston Children’s Hospital, Brigham and Woman’s Hospital, Beth Israel Deaconess Medical Center, Dana Faber Canser Research Instituteなど、様々な病院が乱立しており、それぞれの病院がまた別々の研究室やResearch institution を持っているので、日本のアウトレットのように、辺り一帯が全て病院、という光景を目にすることになります。第一印象が、ショッピングモールみたい、でした。

Longwood Medical Areaの、Longwood Aveの写真です。この通り沿い、全部医療関係の建物です!

4. Workroom
 カルテ室は食事可能!です!
 日本はナースステーションがあり、そこでカルテを書きますが、こちらではそれぞれの診療科の更に細かい専門の種類(神経内科のgeneral inpatient, 神経内科のてんかんチーム、など)でそれぞれworkroomを持っており、そこにパソコンが10台弱あり、レジデントはそこでカルテを閲覧・記載します。Attendingの部屋はその隣りにあります。これらのworkroomは飲食可能なので、皆朝ごはんを持ってきたり、スターバックスのコーヒーなどを持ち込んで、食事を取りながら仕事をしています。

3. お昼が提供されるのはレジデントのための福利厚生らしい
 これが何より嬉しいのですが、毎日lunch lectureがあり、医学部の先生を招いてレジデント用にレクチャーを開いて、そこでランチを提供するので、そこに行けば昼食も無料で取れて、勉強にもなるという、一石二鳥な素晴らしい制度があります。
また、これは診療科にもよるのですが、ランチレクチャーは福利厚生の一環で、レジデントに提供しなくてはならないものらしいのですが、提供されてないかもあるみたいで、真相は定かではありません…(・・;)

サンドイッチやクッキー、飲み物も、水はもちろんコーラもあります。


とある日のサンドイッチとポテトチップスランチです。
2. 私服で回診。神経はカバン持ち!
 こちらの医師の服装は、professionalで、smartに見えることが求められているので、シャツにキレイめのパンツか女性はワンピースを着ることも!日本だとドラマでこんな医者いないわっ、と突っ込みたくなるような服装でみんな毎日診療しています。笑 また、神経内科は神経診察の道具を持たなくてはならないので、小さい肩掛けバッグを持っていて、病院のカードを持ってなければ、今からショッピングに行くような格好です。

1. スクラブで街中歩く
 こちらの外科医は、スクラブを病院から借りて、それを着たまま家に帰り、新しいのを持って帰って、朝新しいスクラブを着てそのまま出勤します。その為、スクラブで電車に乗る人も多く、医療関係者が多く住む病院の近くの地域のスーパーでは、スクラブ姿で買い物をする人がたくさんいます。朝5:306:00からプレラウンドやラウンドがあるので、着替える時間一分一秒も惜しいのだと思います。

服装に青が入ってる人が基本的にはスクラブ姿の人たちです。笑

2ヶ月間実習していたBoston Children's Hospital です!

以上、辻利抹茶ラテがお送りしました。(学内の人でわかる人はこれでわかるでしょう笑)

2017年5月26日金曜日

NTUHの心臓血管外科

ご無沙汰してます。けろです。



台湾は日系企業がとても多いのでけろもちゃんといます(笑)
モスバーガーは日本にいた時よりもはるかに多く目にするくらい、台湾人にとって日系のものは人気だったりします。(国内線ターミナルの松山空港近くに飛行機を見に行ったらANAの機体が飛ぶ時だけ歓声が沸き上がってみなさん手を振ってました)


さて、NTUHの心臓血管外科ですが学生の実習は主に見学です。

参加型に比べれば受動的になってしまう点は否めないのですが、偶然にも若手の日本人医師が1年間勉強に来ていたのでその方から日本との違いを色々聞いたり、NTUの6年生と話したりしていたのであまり退屈はしていないです。
日本でもオペ見学は実習に組み込まれていますが、オペ後に執刀医に質問することを考えながら観ていると集中しやすいかなと思います。

医科歯科があまり強いとは言えない領域ですので疾患のマネジメントや外科手術の進め方・考え方についてじっくり考える良い機会になっています。
台湾の最高峰とあって、よく執刀医となる准教授クラスは症例数が豊富で本当に手術が上手いです。元々センスのある人が努力をすれば正しく鬼に金棒なんだなという感じです。

心臓血管外科のレベルは少なくともNTUHに関しては日本のトップレベルと大差がないか、分野によってはNTUHの方が上だろうと日本人医師は言っていました。特にECMOとロボ手術は日本よりもはるかに進んでいました。

ロボ手術はDa vinciを使います。Da vinciを使った手術も初めて見学しましたが、まさか心臓手術が最初になるとは思ってもいませんでした。良好な視野を維持しながら流れるように動かして手術を進めていました。僧帽弁は直視ではかなり視野・アプローチが厳しいのでNTUHでは積極的にロボ手術をしているそうです。

ECMOは1995年の国民皆保険制度導入に伴い、医療費節減でECMOを管理する医師への加算がなくなったことから医師いらずで運用できる体制となっています。特に驚いた症例は分院に来院した典型的なST上昇型心筋梗塞の患者に対してNTUHからECMOチームが向かい、分院にてECMOを導入してそのまま1時間かけてNTUHまで救急搬送をし、緊急CABGとなったものです。
台湾の救急は大病院に患者が集中し、大病院ではアメリカのように廊下まで患者が溜まる状態になっているのですが、必要な重症例については迅速かつ最大限の治療ができる体制がギリギリ保てているようです。


おまけ(食べ物)
台湾といえばマンゴーかき氷!!
ということで(日本人の中での)有名店に行ってきました。6~8月は愛文マンゴーが旬なのでオススメです。



長期滞在でない限りなかなか行かないであろう金門島という離島にも行ってきました。大陸のすぐ近くで両岸関係上非常に重要な島なのですが、現在は観光地としてそれなりに賑わっています。この島で食べた牛肉麺は金門島名産の牛肉を金門島名産の高粱酒でつけて沸騰させた出汁をかけて食べるというスタイルだったのですが、自分の中では台湾のベストフードでした。もし台湾に留学する機会があればこのようなちょっとマイナーめな所にも遊びに行かれるので迷っている後輩は是非アプライしてみてください(笑)



2017年5月23日火曜日

UMC ICU実習

こんにちは。ラスベガスにあるUMC(University Medical Center)で実習をしているyokoです。実習期間の半分以上を過ぎての初投稿になります。

今日は4月にローテートしたICUでの実習について紹介したいと思います。

1.      CAT 3という制度について
UMCでは患者さんの最後の迎え方について、CAT 1-3まで3種類の分類があります。CAT 1はいわゆるフルコースで、胸骨圧迫から挿管からすべての救命処置を全力で行うものです。これは日本でも一般に行われていることだと思います。CAT 2は基本方針として急変時は救命処置をしないものとなっています。ただしいろいろと選択の幅があり、抜管後の再挿管はしないとか、コードブルー(院内放送でのドクターコール)をコールしないとか、抗菌薬を使用しないなど様々な選択肢があります。選択肢の幅は日本よりも多様だと思いますが、これもまた日本で一般的になりつつあることだと思います。医科歯科でもたまにカルテにDNRと赤字で書いてあることがありました。CAT 3ICUにおいてはほぼそのまま安楽死を意味し、CAT 3 になった時点で鎮痛と鎮静以外の全ての治療を止めます。ICUCAT 3になる人は挿管されている患者さんがほとんどですが、CAT 3になった時点で抜管し、抗菌薬も昇圧薬も止めます。Aラインなども抜いてしまうので、最後は心電図とサチュレーションと鎮痛・鎮静のためのラインだけがつながれている状態になります。これは私が大変驚いた点で、日本では明確な基準はないものの、一度挿管された患者さんに対して緩和目的に抜管を行うことは一般に行われないことですし、昇圧薬もすべて止めてしまうと確実にすぐ亡くなってしまいます。こちらの学生や医師は「挿管されたまま、意識もないのに何か月も生きていることは、患者本人にとっても家族にとっても医療者にとっても苦痛なことだ」と言っていましたし、「多くの症例を見てきて、この状態だと最後は苦しんで死ぬことが多いから、それよりは安らかに最期を迎えてほしい」と言っている先生もいました。確かに苦しんで生きるより安らかに死ぬことを選ぶ気持ちもわかりますが、日本人の感覚とは少し違うようです。また、家族のいない患者さんの場合、2人の医師の署名でCAT 3にすることができると聞き、それはさすがにやりすぎではないかと思いました。ちなみに、日本でも問題になる積極的安楽死に関してはまだ数州でしか認められておらず、こちらはKCLの静注など、明らかに患者を死亡させる目的で何らかの医療行為を行うことを指すようです。
日本でも今後CAT 3という選択肢に関して議論になると思いますし、今現在そのようなことができないからと言って、考えることを放棄せず、考え続けていくことが大切だと感じました。

2.      専門化された医療現場
アメリカではICUに限らず、多くの職業が専門化されています。医師は診断と治療に特化し、心電図・末梢ライン・その他看護的処置などを行うことができません。資格的にはできますが、やり方を知らないようです。また挿管もER以外だとフェロークラスにならないとできないようです。その分自分の専門分野に関しては知識も手技も日本の研修医/医師よりも詳しく知っていることが多く、特に研修医にその傾向を感じました。研修医は研修医になる段階である程度自分の専門を決めているので、その専門と関連のある診療科しか回りません。その分ローテートしている診療科では一人の医師として自立した診療を行っています。つまり、自分で患者の問診等を行い、アセスメントとプランも基本的に自分ひとりで考えます。それを回診の時などにアテンディングに報告し、さらに追加で行うことやちょっとした変更がなされます。そのため研修医と言えど責任が重大で、日本の後期レジデントのような働きをしています。学生でさえもある程度自分の専門は決めているので、その豊富な知識に驚かされました。
一方で細分化されるデメリットもあり、コミュニケーションがうまくいかないとチームとしてうまく回っていかないようです。私が聞いた話では、respiratory therapistと医師の仲が悪くて患者さんの呼吸器の設定に関して揉めたり、ナースと医師の仲の悪さから些細なことが大きな問題になることがあるようです。日本でも細分化が随分と進んでいると聞きますが、アメリカではより進んでいるため、アメリカの現状を参考にしながらチーム医療の在り方を考える必要がありそうです。

3.      疾患の違いについて
こちらのICUでよく見た疾患のNo.1は敗血症です。日本ではよくDICを見たように思いますが、こちらでは逆にDICが少なく、敗血症がとても多いです。日々の検査に凝固系の検査が含まれていないことが一因だと思います。敗血症に関しては診断基準がはっきりとしていて、意外と簡単にその診断基準を満たしてしまいます。ERICUの医師はその診断基準が書かれたカードを常に携帯していて、目の前の患者さんがその基準を満たすかどうかを常にチェックしているようです。このように多くの症例をすくい上げようとしているので症例が増えているという点がある一方で、他の要因としては、アメリカの患者さんは重症化してからERに来ることが多いということも挙げられます。やはり経済的な問題もあり、なかなか軽症では病院に来たがらないようです。オバマケアによるメディケア・メディケイドも日本の保険制度のように自由に無制限に使えるものではないようですし、ちょっとしたことでERに行って高いお金を払って何時間も待ってまで医療を受けることはしたくないのだと思います。

4.      行われている医療について

日本にいるときはアメリカの方がEBMがしっかりしているという印象でしたが、そこまで日米の違いはないように思いました。というより日本もアメリカに負けないくらいEBMを行っています。また、アテンディングが1週間で変わるため、アテンディングごとの方針の違いにレジデントが戸惑う場面もあったと思います。ただどのアテンディングでも、日本のように高い薬でエビデンスが乏しくてもとりあえず使ってみるというようなことはなかったと思います。そのほかにもCTや手術など、侵襲的で危険を伴うような処置に対するハードルが高く、そのような状態だとCAT 3 も視野に入れているためかあまり積極的に治療しに行かないように感じました。もちろん救える人に対しては全力で治療しますが、救えなさそうだと判断されるとCAT 1でもその判断は消極的になりがちだと思います。

ICUという場所ゆえに、この1か月で多くの患者さんが亡くなるところを見てきました。患者さんが回復してきている場面ではあまり日米の違いを感じませんでしたが、患者さんの状態が重篤な際の医療に関しては日本人とアメリカ人の死生観の違いを大いに感じました。

2017年5月21日日曜日

ラスベガスER

こんにちは!ネバダ大学で実習中のkamaです。
遅くなってしまいましたが、4月に実習したEmergency Departmentについて報告したいと思います。


以下の5つの場所で、日勤6am-6pmまたは夜勤6pm-6am・準夜勤2pm-10pm(水曜のみ)が組み合わさってシフトが組まれていました。

①East:Medical ERと精神科
②West:Medical ERと産婦人科
③Peds(小児ER)
④Trauma(外傷ER)
⑤Conference(毎週水曜8am-1pm)

実習内容は、ERなので、”患者さんを診る→診断や必要な検査・治療を考える”、これの繰り返しです。
軽症の方の場合は、先に一人で診察し、先生に報告をさせてもらうこともありました。
一か月目だったこともあり、患者さんの英語が聞き取れず、全然内容の足りないプレゼンしかできなくて、悔しい思いをすることも何度もありました…。が、多岐にわたる主訴の患者さんや重症の方を見て、繰り返し考えることで、少しは鍛えられたのかなと思います。


また、⑤のConferenceは、普段はレジデントの先生方の勉強会なのですが、一度特別講義があり、軍のメディカルトレーニングセンターで行われました。

事前に"military like training"をするから汚れても良い服装で来るように、と言われており、結構不安でいっぱいでしたが、
実際怖かったです。

講義の流れとしては、
止血用ベルトの使い方や銃撃事件の初期対応についての座学
  ↓
負傷した(自分より重い)人を一人または二人でどのように搬送するかの練習
  ↓
実践で、少人数のグループごとに銃撃事件があった現場に居合わせたらどのように行動・応急処置をするかについてのシナリオ×2

でした。

銃撃事件のシナリオは、音も負傷者も本番さながらでした。実習二日目で説明もよく聞き取れなかった私は、撃たれたらどうしようという的外れな恐怖をずっと抱いていました…。
しかし、「もちろん起こらない方が良いけれど、アメリカでは実際に銃撃事件が多く起きているのだからこの練習は私たちに必要」と仰っていた先生の言葉や、冷静にやるべき応急処置をされている先生方の姿は、とても印象的でした。


さて、他の病院に行った皆も書いていますが、日本のERと違うと感じたことを挙げてみたいと思います。(私は日本でもアメリカでも一つの病院でしか実習したことがないので、病院ごとの違いに過ぎないものも含まれているかもしれません)

・病院の混み具合
UMCのERは、40床以上(その他に外傷・小児)と非常に規模が大きく、患者さんはラスベガスだけでなくネバダ州の広い範囲から運ばれてくるので、廊下に担架の列ができるほど混み合っていました。
病院の密度が日本とアメリカでは違うという他に、アメリカではGeneral Practitioner(GP、かかりつけ医のようなもの)からの紹介状がなく大病院にかかれるのがERだけなので、保険がなくてGPがいない人もERに集中してしまうのでしょうか。

・分業体制
アメリカのERにはドクターやナースだけでなく、Physician Assistantという医師と似たような仕事をする方や、救命救急士、クラーク、呼吸療法士、放射線技師、心電図を取る技師、ボランティア(medical schoolやresidency programに応募するには病院でのボランティアの経験が大事なようです)、警察官など色々な職種の方がいて、分業が進んでいました。

・患者さんの疾患
これは違いがあるのは当たり前と言えば当たり前ですが…
gun shotや麻薬中毒、sickle cell anemiaや嚢胞性線維症など、日本ではほとんど見ることがないけれどアメリカでは結構見た疾患がありました。アルコールやコカインに関連した問題というのも多く見ました。

・ディクテーションしてくれる機械
先生方がカルテに入力する際、Siriのようにマイクに向かって喋るとそれを入力してくれる機械がありました。固有名詞以外はほぼ間違えない、驚くべき正確性でした(笑) アメリカでは訴訟が多いので詳細なカルテ記載が必要というのと関係しているようです。



最後に、ラスベガス市内の観光スポットの写真を載せて終わります!郊外については、きっともう一人のyokoが書いてくれると期待します!

中心部は、カジノ・ショッピング・ショー・ビュッフェがそれぞれのホテルにあり、飽きることがありません。
(私たちはそんなに遊んでいませんよ!笑)

シルクドソレイユも行ってきました!
メジャーリーグのチームはないので、マイナーリーグです。

 
 
 
 
 

Radiation Oncology & Ether Dome

こんにちは、Massachusetts General Hospital/Radiation Oncologyで実習中のMariです。今回は実習について少しと、有名なEther Domeについてご紹介しようと思います。


Radiation Oncologyは直訳すると放射線腫瘍学ですが、日本で言う放射線治療をやっている診療科になります。

ここのすごいところは、各臓器の腫瘍に対して放射線治療の専門家がいること。

頭頚部、胸部、乳腺、消化器、泌尿器、肉腫、小児科・・・と外来もすべて別です。

私は2日間ずつで各臓器の外来と治療を見学しています。

そしてもう一つMGHの目玉は、Proton、つまり陽子線治療ができるところです。

放射線治療の詳しい話はここには書ききれないくらいになるのでざっくり話すと、X線などは体を通り抜けていくのに対して(だから画像診断に使えるんですよね)、陽子線はある深さで止まる、つまり腫瘍の場所を指定すればその先の正常組織に放射線を照射せずにすみます。

そのため特に小児や頭頚部など、正常組織への照射を極力減らしたいときに大活躍するのがProtonなのです。

Protonでの治療は高い上に現在MGHにも1台しかないので(もう1台建設中)、この治療が必要だと思った場合はカンファレンスできちんと症例発表をしてコンセンサスを得る必要があります。

実は日本は陽子線治療が全国でも10か所以上、そして重粒子線治療というさらにパワーアップしたやつも全国で5か所、実施可能な施設があるそうです。
先日お話した先生が「世界で10か所もない重粒子線治療の施設の半分が日本にある、なのにアメリカには一つもない」とおっしゃっていました。意外!

少し上の話で興味を持った方がいたら、こちらのホームページが参考になると思います


さて、Ether Domeのお話。

病院の敷地内ですが一般公開されています。

1846年、William Thomas Green Mortonというボストンの歯科医が世界で初めて全身麻酔を用いた外科手術に成功した場所です。

部屋の裏側には展示室があります。当時の衝撃がよくわかる。

"遠国からやってきた医学生も、そして時代が変わった後の医学生も、この場所を訪ね、多大な興味を持って見ることになるだろう
なぜならこの場所こそが、最も輝かしい科学の真実の一つが世界で初めて実演された場所なのだから”

150年以上たってアジアの島国からはるばるやってきましたよ!


エーテルドームがある建物を出てすぐ。敷地内に素敵な公園があります。

病院内はカフェテリアもいくつかあり、ソファが置いてあって休めるスペースもたくさんあります。ラグジュアリー!

5月の実習、残り1週間!