2017年6月20日火曜日

ラスベガス 外傷外科

こんにちは。Yokoです。6月も終盤に入り、ラスベガスではつらい季節が始まりました。今日の最低気温は30度、最高気温は47度だそうです。到着翌日の42日以来雨が降っていません。日中外に出ると息が苦しいです。でも病院内は寒いです。7月に入るとモンスーンの季節らしいですが、その到来より先に日本に帰国できそうです。

そんなラスベガスでの最後の1か月は外傷外科で過ごしています!なので今回は外傷外科の紹介をしたいと思います。

外傷外科って聞くと多くの人は「骨折を治したりするんでしょ」って想像すると思います。私もそう思っていました。Nevada州で唯一のLevel 1 trauma centerなんだから、そんな手術を多く見て帰ってくるのもいいかなって軽く考えてました。

しかし回ってみると実際は大きく違いました。まず外科なのに手術を見ません!大きいものは週に2件くらい?
じゃあ何をしているのかというと、実際は重症専門の外傷ERです。外傷ERにはERドクターと外傷外科ドクターがいて、軽症はERが、中症~重症は外傷外科がファーストタッチを担当します。これにはちゃんと基準があって、救急隊からの連絡時にナースが振り分けをします。事故の状況やバイタルを参考にして振り分けますが、だいたいIntermediate(中傷)がたぶん大丈夫だけど運が悪ければ命に関わる傷で、Full(重傷)がショック状態など命に関わる傷です。普段は救急隊の連絡から想像した通りの患者さんが来ますが、たまにオーバートリアージもあって、銃で撃たれたfull activationと聞いて準備万端で待っていたのに、実際はBB弾で撃たれただけだったなんてこともありました。

もちろん本当に重症な人が運ばれてくることもあって、そんなときは胸骨圧迫しつつラインを取ったり、オペ室に直行したりします。外傷外科で行う手術はこのような超緊急な手術がメインとなります。私は肘をガラスで大きく切ってしまった方の神経と血管の再建や、クラムシェルと呼ばれる手術を見学することができました。胸を横に大きく開く大胆な手術です。気になる方はグーグルとかで調べてみてください!画像はちょっと衝撃的です。これらの手術は血管外科などにコンサルして一緒に手術したりもします。アメリカはコンサルがホントに多いです。逆に外傷外科が他科からコンサルされることも多いです。
他には外傷性気胸が胸腔ドレーンでなかなか治らなかった時の手術や、気管切開などをちょこちょことやっています。ちなみに骨折などで手術が必要な方はほぼ全例を整形か形成にコンサルです。

また、外傷外科はこちらのERと違って入院患者さんも見ます。朝回診に行ってる時も急患が来るとポケベルで呼ばれるので、日によってはとても忙しくなります。夜勤帯からずっと忙しくて、朝回診が終わったのが結局夕方になってしまったこともありました。

研修医の先生はそんな日々を7時―19時か19時―7時の12時間勤務+引継ぎの時間×週6日なので大変です(週80時間制限ギリギリ)。学生も大変ですが、事務仕事がない&重症しか見ないのでとても充実した毎日を送っています。朝早くて夜遅い方が外の気温も低いです。悩みは血が怖いことくらいです。外傷なので血に触れがちですし、こちらはHIVHBVHCVが蔓延しているので、いつも以上に感染対策は厳重です。

最後に私が2週間で見た患者さんのグラフを載せます。コンサルなどは抜いているので、純粋に救急車に乗ってきた患者さんだけです。
交通事故の中身は車orバイクがほかの車や壁にぶつかる事故がほとんどを占め、逆に歩行者が絡む事故は少ない印象です。暑いから歩行者が少ないんでしょうか。また、こちらの車はよく転倒(rollover)しますし、患者さんは投げ出され(ejected)もします。大体スピードの出しすぎ+シートベルトをしなかったり、エアーバッグ無しの車に乗ったりしているのが原因です。刺創や銃創に関しては夜勤帯だとさらに増えると思います。




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