長かった台湾生活も明日でおしまいです。振り返ってみると日本・台湾両方で様々な方にお世話になったなぁと感謝、感謝です。
ちょっとどこに置けばいいのか分からなかったことを↓に。
台湾に行く前は何人かの人から「台湾だと日本より医療水準は低いよね」と言われたりしましたが、私はそうは思いません。確かに平均寿命や疾患の生存率などから見ると日本よりは低いかもしれませんが台湾は先進国に含まれますし、医療を形作るキーとなる保険制度は日本のものを参考に十分練って作られているだけあって非常に優れた皆保険制度として機能しています。NTUHで見た限りでは当然ながら最新の知見へのアップデートも積極的に取り組んでいますし、海外への意識の向け方や分業については日本よりもはるかに先を行っています。
さて、最後の投稿は今まで書いてなかったものを中心に、台湾と日本の違いで印象的だったことを雑多に書いてみました。外国の中では日本とかなり似ている国だと思いますが、だからこそ違いについて考えやすかった気がします。
医療的なもの
・院内の人間関係がフラット
学生であろうが、職種、地位、年齢が違おうが日本に比べてかなりフラットに接していました。中国語にも敬語のような相手の呼び方があるのですがほとんど使っていませんでした。気軽に冗談を言い合うし、とにかくよく笑って仕事をしていました。
とにかく風通しがよく、ヒエラルキーみたいなものは全く感じませんでした。
(唯一、とある教授のオペは感情表現があまりにも激しく部屋に居るのが憚られる雰囲気でした^^; オペ室外では優しいのですが、オペ室ではオペ看から器具をひったくるように取ったり、助手を怒鳴ったり、器具を投げたりとコワイことで有名だそうです(´ω`;))
・NTUは国際志向が高い
押しも押されぬ台湾トップの大学ということもあり、学生の海外留学が盛んです。学年の半数は海外臨床実習をするそうで、2カ国以上行くのも珍しくありません。日本の大学だけでも10以上の大学と交換留学の協定を結んでおり、ヨーロッパ各国へも多く行っています。あまり選ぶ人はいないそうですが、臨床実習ではなく研究実習も選ぶことができるそうです。
・NTUHに研修後も残るのは非常に狭き門
心外のところでも書きましたが、大学卒後はPGY、レジデントとして大学病院・市中病院で働いた後は市中病院に行くのが一般的なルートです。
NTUHでアテンダントとして働くには毎年審査があり、勤務状況や執筆した論文などについて評価されるそうです。毎年最低でも1つは論文を投稿しないといけないというのはかなり厳しい基準ですよね、、、
・大病院への患者集中が激しい(らしい)
NTUHでしか実習していないので学生から聞いた話ではありますが、保険制度がフリーアクセスなので通常診療だろうが救急診療だろうがNTUHのような有名大病院に患者が集中してしまっているそうです。
特に救急は深刻で、救急受診費が安いこともあり廊下まで患者が溢れています。あまりにも軽傷の119番が多いので台北市では救急車を軽傷では有料にしたそうですが、それでも安く焼け石に水状態だそうです。
当然医療の質も確保しにくくなってくるのですが、小児診療無料化を行なっている日本の一部地域と似ているような気がします。
日本は病院の機能分化を掲げて大病院への患者集中を緩和しようとしていますが、台湾ではそのような方向性の動きはないそうです。
大学病院での教育という面ではコモンな疾患から稀なものまで大学病院に集まってくるので都合が良い面もありますが、このままではパンクしてしまうのではという印象も受けました。
その他
・男性には1年の兵役義務がある
台湾は兵役義務があり、多くの男性は大学卒業後に1年間従事します。医学科卒業生は、一般と同じ兵役義務を果たすか簡単な医療行為を含む特殊な兵役かを選ぶことができるそうです。特殊な方では主に訓練に伴う筋肉痛やスポーツ外傷のような外傷の診療をして、鍼灸が役に立ったとか。
・義務教育で拳銃の実技がある
上記と似ていますが、こちらは男女ともにやるそうです。大陸との戦争が金門島という離島とはいえ最近まで続いていたこともあり、日本よりも軍事の身近さを感じます。
・公共交通費が安い
台湾の物価は日本と比べると安いですが、スタバは日本より高かったり台北の地価は23区と変わらないとか言われてるくらいなので、実はそこまででもなかったり^^;
ただ、公共交通は本当に安いです。
バスの運賃はゾーン制初乗り15元(約60円)で市街地なら大体この額で足ります。しかもゾーンを超えても15元追加されるだけなので破格です。地下鉄も12~24元で大体移動が済むので本当に安い。
予約などの旅客システムが使いにくいことで台湾人に定評のある台湾鉄道も日本の感覚からすると1/5~1/10くらいの値段で済んでしまいます。
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